朝まで生あくび


 この前朝まで生テレビを見てた.なんでも,教育問題について語り合ってた.なぜ若者が自分の殻に閉じこもるのかとか,そんな感じで.相変わらず朝まで生でやってるので,見てるこっちはずっと朝まで生あくびやった.どう?ちょっとうまいでしょ.

 話はいろいろな方向に飛んでいき,子育てにおけるスタンダードを定めるべきなのかという話題が出た.要するに,家庭崩壊が進んでいる(一部でね)なかで,子育ての指針を定めた方がいいのかということ.だめな親,だめな家族が現在のところ存在していることは否めない.子供を甘やかしすぎている,子供のいいなりになる親があまりにも多いと.この前の新潟の少女監禁事件でも,異常な親子関係やったもんね.

 そこで,司会の田原総一朗さんがこんなことを言った.欧米ではスタンダードが確固たるかたちで存在している,それはキリスト教だ.キリスト教という絶対があって,人々のモラルはキリスト教によって形作られている.戦前の日本にも天皇教があった.高度経済成長,バブル崩壊までは,会社教,学歴教があった.そして,バブル崩壊以後,その絶対というか,スタンダードがなくなってしまった.そこで,これから,それらに変わる新しいスタンダードを作るべきなのか,それともいらないのか.ってな感じで.

 ま,僕は以前から,この日常茶飯記でも絶対は存在しない,神は存在しないって言ってるので,それに基づいていえばスタンダードは作るべきではないと思う.というか,作ることは不可能だ.だって,これがスタンダードだっていう絶対なんかないんやもん.子育てひとつにとっても,それぞれの家庭環境,家族構成,地域環境などあらゆる要素が複雑に絡み合っている.だから,不可能やと思うんです.でも,その話を聞いていて,なるほどと思うことはたくさんあった.確かに,キリスト教を信じている人にとって,キリストは絶対だ.戦前の日本での天皇は絶対やった.会社も絶対やった.僕は,むしろこういう絶対が崩壊した今が,いいと思ってる.絶対がないんやから,その代わりあらゆる可能性が試せると思う.チャンスの時代でもある.

 ただ,人のものを取ってはいけないとか,うそをついてはいけないとか(僕はいいと思ってる),親を大切にしなさいとか,基本的なモラルも欠如している今,それらをどうやって教育するのだという話になったとき,僕らはどういう答えを出せばいいんやろう.昔石原都知事が修身を復活させるとか言ってたけど,この番組でもそういう話が出ていた.欧米では良くも悪くもキリスト教を始めとする宗教がその役割をになってきた.日本ではどうすればいいんやろうか?

 最大の原因は,親にあると思う.親があまりにも惰性で生きている,モラルがない.もちろん立派な親が大多数であります.家庭をかえりみない,夫婦間に愛情がない,子供を甘やかしすぎる,または殴る,愛情をはきちがえている.そんな家庭で生き生きとした子供が育つ可能性は低い.まれに反面教師っていうこともあるけど.すべての人が,現状にそこそこ満足してなに不自由ない暮らしをしている.不景気だといっても,食糧危機でもなければ,暴動が起こっているわけでもない.そこそこな生活ができているのである.そんな中で子供たちは何を目標に生きるんやろうか.現状維持でいいやって思ってるんと違うやろか.そこまでくると,もう教育の問題だけでは語れなくなってくる.日本という国家,国民そのものが無気力というか,保身に走っている.僕もそんな中の一人かも.

 なかなか答えは簡単に出るもんじゃないです.専門家が夜中じゅう話し合っても何ら結論は出てこないもんね.いち若者がすぐに出せるはずはありません.でも,みんなで話し合う意義は多いにあると思う.どうせ無理やとか,無駄やとか,損するとか,そういう尺度だけであきらめてしまうのが一番恐しい.それにつけても,こういう話題を考えるとき,つくづく僕の周りの恵まれた環境に感謝する次第です.親にも学校にも友人にも恵まれ,ほんとにしあわせです.だから,本当に苦しんでいる人の気持ちがわからないのかもしれない.これから社会に出て,深刻な挫折を味わったときに意外と弱いのかもしれない.皆さんはどうですか?

  



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