究極の進化


 今,テレビのコマーシャルでは携帯のCMがはな盛り.スカイウェブだのイージーウェブだの,もはや,携帯電話ではなく,モバイル端末と呼ぶにふさわしい機能の充実ぶり.ザウルスとかは,もういらんよね.でも,果たして,これは本当に機能の充実,進化と呼べるんかね.僕自身J-PHONEのユーザーでありながら,使っている機能はせいぜいスカイメールぐらい.情報提供サービスやらには興味を感じない.大体,街を歩いているときに,あるいは家でも,わざわざ携帯で,占い情報をひき出したり,WebSiteを見たり,はたまた画像ファイルを送る必要があるんやろうか.そこまで,新鮮でリアルな情報が必要な,シビアな生活をしてるんやろうか?(株の取引でもしてるんやったら別やけど.)

 昔は,といっても数年前までは,携帯電話自体信じられない存在やった.『マルサの女』とかに出てくる携帯は,馬鹿でかいかばんみたいで,肩からかけるタイプやった.それが今では,手のひらサイズ.僕にとっては,いささか小さすぎるほど.

 このような進歩?ぶりをまのあたりにしていると,かなり不安になってくる.余計な新機能を,あたかもそれが必須の機能のように,それを使いこなせなければもはや,時代について行けないかのように,半ば強制的に普及させる企業や,世論.こわいこわい.もともとはインターネットだってそう.こんなに爆発的に普及するねんもんね.今や,インターネットやメールができないと,かなり時代に乗り遅れた感がする.21世紀を想像で描いたSFものを地で行く電脳ぶり.

 てなことでない頭を絞って考えてみた.このまま電脳社会が突き進んでいくと,どうなるか?まず,外に出る必要がなくなる.必要なことはすべてインターネットでできる.視聴覚能力と,発声能力(コンピュータに音声認識させるため)さえあれば,たいていのことができる.

 いやいや,声を出す必要もないのかも.いずれは,人の脳波をコンピュータが認識して,すべての欲求の処理を行う.SEXも必要ない.子供は人工授精で事足りるし,いや,クローンだってありうる.戦争だって必要ない.じっとしているのに,領土なんか必要ないもんね.

 それがさらに究極になってくると,『マトリックス』のような世界が実在のものとなるのかねぇ.人は潜在意識のなかで(精神)活動をし,しかしながらそれは完全なバーチャルな世界で,実際の体は生命維持装置に横たわったまま.どれが現実かの区別ができない.

 それが人類の行きつく究極の進化の形態であるとしたら・・・

 今のうちに,二足歩行の快感を楽しんでおきたいと思う今日この頃.

 



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