ビバ・シドニー


 皆さんこんにちは.と,いうわけでオリンピック見てますか?今回はなかなか日本選手も健闘している様で,すごいですね.僕も連日オリンピックの中継やら,ダイジェストやらを見ております.おかげで勉強でけへんっちゅうねん!

 まあ,そんなことはさておき,そして日本選手の活躍ぶり,あるいは残念ぶりをえらそうに批評することもさておき,やっぱり気になるのが(ならない?)オリンピックの影の部分.というか,本当は一番大事な部分やけど,闇に閉ざされていることです.

 シドニー五輪真っ最中の今,皆さん,長野五輪を覚えていますか?まあ,当然覚えていると思いますが.すごかったですよね.いろいろと.長野五輪は県民の悲願とまで言われ,県民を半ば強制的に動員して,招致活動を展開していました.あまりに組織的な動員力で,その様は戦時中と何ら変わりは無いように思えました.(戦時中のことは分からんけど)長野五輪を実現するにあたって,五輪招致委員会なるものが大々的に活動していたわけですが,その収入源はどうしていたんでしょう?勘のいい方ならお分かりですよね.そう,ゼネコン様です.日本体育協会がゼネコンから免税寄付として集めたそうです.そして寄付した企業の大半は五輪関連の建設工事を受注したのです.すごいねぇ.

 招致活動だけではありません.「既存施設の有効利用」をうたって立候補した長野ですが,実際はほとんどが新設されました.無理から自然を切り開いて,バシバシ道路を作ってぐんぐん新幹線を引っ張ってきて,やりたい放題です.ゼネコンにとって,または政治家,官僚にとってこれほどよだれのたれることはありません.招致活動,大会運営費,五輪関連の建設費などを合わせると,5000億円を軽く超えるそうです.その使い道は,招致委員会が民間団体ということで詳細は非公開です.結局は長野市民,県民が負担するのにね.長野市民にとっては一人頭約300万円の借金を抱えることになったのです.たった2週間ほどのオリンピックのために,後々の世代にまでこの莫大な借金を残すことになったのです.これが,「県民の悲願」だったのでしょうか?笑い話にもなりません.

 大会運営中のボランティアも市内の学校など,組織的に動員されました.これじゃ「勤労奉仕」と変わりありません.結局,長野に残ったものは莫大なる借金と,ずたずたに引き裂かれた自然と,誰も使わない,使用目的のたたない巨大競技施設と,新幹線の開通によってますます拍車のかかった過疎化の問題だけです.儲かったのは,政治家・官僚・ゼネコンの黄金のトライアングルと,コカ・コーラ,コダック,VISA・・・長野に何の関係も無いものばっかりですね.悲劇です.ホメロスもびっくり.

・・・・・・で,その悲劇が再び繰り返されようとしています.そう,大阪で.もうすでに財政が破綻している大阪にオリンピックを招致しようとする動きがあります.あぁ,恐ろしい.それで,大阪が潤うとでも思っているのだろうか.大部分の人は騙されて躍らされているだけです.もっと現実をしっかり認識しましょう.

 確かに,スポーツはみていて面白いし,感動もします.しかし,そのスポーツが,国家主義,商業主義,民族主義の上で踊らされているとしたら・・・スポーツのあり方,オリンピックのあり方をここで本当に見つめなおさなければなりません.「参加することに意義がある」という言葉は,選手よりもむしろ巨大な官民複合体にとってしっくりくる気がします.皮肉です.ほんと悲しいです.今,まさにその悲劇が南半球の地,シドニーでリアルタイムに起こっているわけです.決してその現実から目をそむけてはいけません.

 ご意見お待ちしております.

 



This page is created by Junro, 2000.