感動したけれど・・・


 大相撲5月場所.劇的な幕切れでした.まさか勝つとは思っていなかったので.最近,相撲には興味も無く,千秋楽もたまたま見たのですが,迫力あったねあの顔.あの顔を見なければ僕は,あの勝負は八百長じゃないかと思ってしまうところやったけど,あの顔にはさすがに何もいえませんでした.よっぽど胸に期するものがあったんでしょう.

 それよりもっとすごかったのが,表彰式での内閣総理大臣杯授与のとき.小泉首相が花道を歩いてくるともうそれはそれは割れんばかりの拍手の渦で,場内沸きに沸いてました.
 そんでもって,あのコメント.表彰状を読み終わったあとに「痛みに耐えよく頑張った,感動した,おめでとう!」なんて言ったもんやから,場内はやんややんやのお祭り騒ぎ.ほぇぇ.

 正直僕も喜びました.歴代の首相であれだけ気の利いた,もしくは心のこもった言葉を公式の場で言える人はいなかった(田中角栄以外で).だから,ああいう素直な言葉で貴乃花を褒め称えたことはすばらしいことだと思います.
 この不透明で先が見えないといわれている世の中,国民にきちんと言葉を投げかけてくれる政治家を国民がどれほど待ち望んでいたのかということを,あの場内は端的に現していたのではないでしょうか.支持率90%という世論の後押しを受けて,カリスマ性も相当なものです.

 でも・・・でも・・・.なんか釈然としないんです.僕だけでしょうか.日本人という国民性がすごく危ない気がするんです.他の国も多かれ少なかれそうなのかもしれませんが,カリスマ的なヒーローが現れると世論が熱狂的に支持する.スポーツ界ならいいんやけど,政治となるとそうもいかない.
 今の国会で小泉内閣に厳しい質問をしようもんなら,すさまじい批判が来る.これじゃあ戦時中と変わらん.反対勢力は,まるで非国民扱い.
 確かに,小泉政権に今までのしがらみを打破してもらって新しい枠組みができるんじゃないかと期待する気持ちは充分わかります.僕もそれなりに期待しているし.でも,健全に国政を運営するためにはやっぱり反対勢力もしっかりいないといけない.

 だから,僕としては今こそ民主党に頑張ってもらいたいと思っています.このままでは夏の参院選は自民党の圧勝になります.民主党は壊滅するかもしれない.執行部が責任をとって鳩山氏や,菅氏が辞任しようもんなら今の民主党には彼らにとって代われる顔がいない.終わりです.
 そうなると,小泉政権は安泰でしょうがその影にぶら下がって甘い汁を吸っている旧来の族議員やらがおいしい思いをするのです.そうなったら元も子もない.小泉さんの求心力自体も弱まってしまう.

 僕としてはかなり厳しい状況です.って別に民主党員では無いけれど,今の熱狂振りは少々オーバーヒートかなと思うわけです.
 季節も蒸し暑くなってくるので,皆さん熱しすぎもほどほどにしましょう.

 



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